宗教について 〜 人の生と死を考える 注44

公開: 2023年3月15日

更新: 2023年4月8日

注44. アダム・スミスの国冨論

17世紀の中頃、イギリスで産業革命が始まりました。蒸気機関が開発され、綿織物など、力を必要とする仕事に、蒸気機関を用いることで多くの女性も、生産に参加できるようになりました。鉄の生産も、石炭を使うことで効率的に行えるようになりました。米国で生産されていた綿花は、当時、スコットランドに運ばれ、綿糸に加工され、それをイングランドに運んで、綿布にしていました。

船で運ばれてきた綿花がスコットランドの港に陸揚げされ、市場で競売にかけられ、製糸工場に運ばれてゆくのを見ていた倫理学者のアダム・スミスは、この過程で、市場に関わっていた人々が、キリスト教的な倫理観に基づいて行動しなければ、市場の機能は成り立たなくなることを察知し、市場における需要と供給の関係で、ものの価格が決まることを見出しました。ここで、公平な取引が行わなければ、市場は成り立ちません。

このような観察に基づいて、アダム・スミスは、資本主義の原理を説明した「国富論」を執筆し、世に送り出しました。現実の社会では、自分達の製品をより高い価格で売ろうとする資本家は、市場での自由競争に介入して、自分に有利な取引をしようとします。例えば、独占や寡占による価格操作などです。

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